天才を育てるヒントは親の接し方にあるのかもしれません
9月13日、大リーグ記録を更新する9年連続200安打を達成したシアトル・マリナーズのイチロー選手。
日本で7年連続首位打者を獲得し、大リーグでも数々の記録を塗り替える彼を人はこう呼びます。“天才”。
特定の分野で圧倒的なパフォーマンスを見せる天才が、どのような過程を経て誕生するかケースは様々。
例えば、日本が誇る天才芸術家・岡本太郎は、両親が幼少期から自分の意見をすべて尊重してくれたため、
常に自分のアイデアに自信を持つようになった、と自著で語っています。
もしかしたら、天才を育てるヒントは親の接し方にあるのかもしれません。
そこで、イチロー、松坂大輔、杉山愛、川口能活など、トップアスリートの家庭環境をつづった書籍『天才は親が作る』の著者・吉井妙子さんに、
“天才”たちが育った家庭環境について聞いてみました。
トップアスリートがあれほどのレベルに達したのは親の教育のたまものといえます
私がこれまでに見てきたトップアスリートの例でいえば、彼らがあれほどのレベルに達したのは、 ひとえに親の教育のたまものといえます。子どもが『将来、オリンピックに出たい』とか『プロ野球選手になりたい』と夢を語ったとき、 現実的に難しいと否定したり、親の希望と異なるため相手にしないという家庭は少なくないでしょう。 ところが、天才の親たちは決して常識にとらわれることなく、子どもを信じ、 毎日練習に付き合うなど親子で濃密な時間を過ごしているのです
トップアスリートの親は決してスパルタではない
親子二人三脚で夢を目指すというと『巨人の星』などを想像してしまいますが、
トップアスリートの親は決してスパルタではないそうです。
「子どもは飽きっぽいですし、練習のつらさから競技を嫌いになってしまう可能性もあります。
それを感じさせないようにするのが親の役目。イチローの父親は イチローが練習に飽きそうになったときは、
相撲を取って遊んだり、気分転換を促す工夫をしたりしていました。また、親が子どもの将来に夢を持つと、
それが子どもへのプレッシャーになりがちですが、トップアスリートの家庭では親が子どもに過度の期待をかけず、
練習における目標も現状から10〜15%レベルを上げる程度に設定していました。
そして、子どもが上達したときにはやや大げさなくらいに褒めて、彼らがまた褒めてほしいから練習を重ねるという環境を作っていたのです」
親が競技を楽しめるような工夫することで、子どもにとって練習は遊び感覚へと変わります。
子どもは遊んでいいと言われれば、いつまでも遊んでいるもの。結果として、天才は“遊び”という名の練習を毎日のように重ね続けたことで誕生したというわけです。
カエルの子はカエルなのか!?トンビが鷹を生むのか!?
この子育て方法はスポーツに限らず、勉強や芸術活動など、どんな分野にも応用できそうですね。
うまく育てれば、将来的にボクの子どもも天才になりそうな気がしてきましたが…。
「“二世”的な立場の子どもは、親や周囲からのプレッシャーから純粋にその競技を楽しめず、
結果的に大成しないケースが少なくありません。むしろ“天才”は、一般的な家庭環境の方が生まれやすいと思います。
ただ、それは親が社会風潮や常識にとらわれず、子どもの興味を伸ばすような接し方をした場合。
“天才”を育てようなんて教育をしても、子どもはそうはなりませんよ」
むむっ、やはり不純な動機では子どもにも伝わってしまうわけですな。
カエルの子はカエルなのか、トンビが鷹を生むのか。この答えは、どうやら親次第ってことのようです。