おもしろ雑学ファイル書道を習ってたのにボールペン字が苦手!?> 

実社会でいちばん使う場面が多いのはボールペンだと思うだけに気になる

「毛筆を習っていたけど、ボールペン字はあまり得意じゃない」という人はときどきいる。 実は自分自身、幼少時から書道を習い、師範もとったのだが、ボールペン字はどうも苦手だ。 実社会でいちばん使う場面が多いのはボールペンだと思うだけに、気になっていたのだが、実は書道経験者には自分と同じことを感じている人は多いよう。 また、ネット上でも「書道は上手なのに、硬筆は普通とか、あまりうまくない人がいる」という指摘が見られたけど……いったいなぜなのか。

『毛筆も硬筆も上手に書ける人』『硬筆が上手に書けても毛筆は上手に書けない』

毛筆を習っていた人は、字を崩すくせがある人も多いから? それとも、毛筆では半紙など、大きな紙に書くことが多いから? あるいは硬筆では、筆圧の強弱がつけられないから?

全国書教研連盟・代表の佐藤香玉さんは言う。
「まず個人差があることですが、『毛筆が上手に書けて硬筆も上手に書ける人』がいる一方で、 『硬筆が上手に書けても毛筆は上手に書けない』という人もたくさんいます。 毛筆を習ってきた人の場合、崩した字でも、基本のとめ・はねを守り、基本的に正しく書かれていれば美しいはずです」 ただし、「書こうとする姿勢が違うのでは?」という指摘もあった。 「毛筆もボールペン字も同じで、人様に見られると上手になります。日記などは、上達しようという意識で書かれないので、 くせ字なども直そうと思わず、汚いままなんです。そうすると、たとえば履歴書の字などを美しく書こうと思っても、 普段のくせ字が出てしまいます。毛筆を習っていた人もそうでない人も、人様に見られることを意識して、 普段から美しく書こうという姿勢を持っていれば、美しい字になるはずです」 確かに、毛筆は姿勢を正して、きちんと筆を持ち、きちんとした筆使いで書くのに比べ、 ボールペンでは適当に書いてしまうという人は多いかもしれない。

毛筆と硬筆(ボールペン、万年筆、鉛筆、その他)の違い

一方、日本ペン習字研究会・日本書道学院の二木事務局長は「毛筆と硬筆(ボールペン、万年筆、鉛筆、その他)の違い」についてこう言う。
「毛筆の特徴は、筆の弾力を利用して文字を書くので、水平の動きだけでなく、上下の動き(筆圧の強弱、抑揚)も使って運筆すること。よって、点画の強弱、太い細いなどが表現しやすいです。毛筆の場合、点、たて画、よこ画、とめ、はらい、はね、すべての筆使いは、水平と上下に筆を動かすことで構成されます」

では、硬筆(ボールペン、万年筆、鉛筆、その他)の場合は……。
「硬筆の特徴は、筆圧の強弱はあるが、水平の動きが主体で、上下の動きは少ないこと。よって、点画の強弱、太い細いなどは毛筆に比べて、表現しにくいです。また、毛筆に比べ、線の太さに変化が少ないので、字形のアラが目立ちやすいこともあります。例えば、『書』という文字のよこ画の空きが均等でないと、目立ちやすいですよ」 ただし、これらの違いを認識すれば、毛筆だけを習っている人でも、硬筆もある程度は書けるもので、「あとは好みの問題でしょう」ということだった。

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